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2013-01-09
図で解く「ブレーメンの音楽隊」
「ブレーメンの音楽隊」の図、再掲。
思いついたことがあるのでメモ。

飼い主の家を逃げ出したロバ、イヌ、ネコ、ニワトリは、ブレーメンに行って市の音楽隊に入れてもらおうとブレーメンを目指す。音楽隊に入れば食える。殺されることもない。
図では時間と空間が同じベクトルを持っている。未来とブレーメンが同じ一つのものであるかのように同じ方向を向いている。時間と空間の混同は、人間の現実生活でもいつも起きている。お話(物語、ストーリー)を図化するには時間と空間を分ける必要がある(科学的にやるなら)。
一昨日の記事で書いたように、この図には赤い線で示した別の流れもある。エネルギーの流れである。エネルギーは他の用語も考えられる。圧力、力、加速度、影響、働きかけ、ベクトル、アクション、情念、等々。
物語を観察するなら、時間、空間、エネルギーの(少なくとも)3つの次元に分けて観察する。

もう1つ、語り手の次元も考えられる(右図)。というのは、「ブレーメンの音楽隊」のメンバーはニワトリを除いて全員老いぼれ。役立たずになって餌をもらえなくなったとか殺されるとかの境遇にあり、そこから逃げ出してくる。彼らの境遇には語り手の境遇が反映されているかもしれない。たとえば、語り手は老人であり、家族や社会から邪魔にされているとか。
それならば、ロバたちによる泥棒の家の乗っ取りは、語り手の復讐意識の表現でありうる。語り手の次元を加えると物語の構造は4次元になる。物語中のエネルギーの次元と重なりそうだから、3.5次元ぐらいに考えるべきか。

時間について。
現実世界では、何もしなければ時間が流れてしまうが、物語の世界では出来事やアクションがなければ時間は流れない。時間は出来事の結果として生まれるにすぎない。
物語の中で時間のように見えるものは、実際は因果関係ではないか。現実世界では、因果の関係にないものが同じ空間に散在・混在しているが、物語の出来事はつねに他との因果関係がある。

DOT 言語。
修正や細かい調整を除けば、DOT プログラムは人が手で書くものではないが、手で書いても得られるものがある。考えが整理できたり、見えなかったものが見えたりする。
こうなると対話的環境も欲しいが、どのへんがいいだろう。
- Resources | Graphviz - Graph Visualization Software

[追記] 聞き手について。
語り手が老人だとしてだが、ブレーメンに行って音楽家になりたいという情動は老人のものだろうか。むしろ、若者あるいは子供の情動ではないか。
語り手の情動と聞き手の情動が重なるような場で物語は発生する。もしくは、そのような場を求めて物語行為は行われる。