to top page
2019-11-24
通常は「比喩的な思考」を意味するフランス…
通常は「比喩的な思考」を意味するフランス語 pensée figurative が、文字どおりには「形象的思考または像による思考」を意味する。これを枕に今村仁司が言うには、

どのような抽象語も、もとはといえば普通の日常語から出てきたものである。日常語は原則的に事象から言語への「置き換え」であるから、どこまでも「喩え」またはメタファーの痕跡を消し去ることは不可能である。概念的な用語は抽象的であっても、どこかに喩えと比喩の性質をひきずっている。この事態をなげかわしいこととみなすのではなくて、逆にそれを可能な限り引き伸ばすこと、これをこそベンヤミンはめざしていたと思われる。 ――今村『ベンヤミン「歴史哲学テーゼ」精読』

事態を引き伸ばすとは、あえて喩えの痕跡を目立たせること。
さらにベクトルを強調するなら、抽象から具象へ、科学からアニミズムへの後退。あるいは後ろ向きの前進。