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2011-11-06
作詩術――サンドイッチ法
よく知られたフレーズ、たとえば俳句、歌の文句、格言などで前後をはさむと、作品にまとまりを与えることができる。逆に、よく知られたフレーズを分割して、作品のはじめと終わりに配置してから、あんこの部分をつくってもいい。

例1
佐渡へ佐渡へと草木がなびいて
そうする間にも何が驚くこともないもんで
妙に妙なる気がするわけよ
きのうは相川で金鉱掘ってたが
……
佐渡は居よいか住みよいか、はあ
- 佐渡便り

見ての通り、「佐渡おけさ」の「佐渡へ佐渡へと草木もなびく…」を使った。

例2
ゆくえも知らぬ、これはまた
悲しいお言葉をきくものです
地獄の責苦を見るにもまして
月の国へあなたを運ぶ
よすがとも夢の中
小笛を奪われたその場所へ
望みのものをやろうとは
草をむしり、岩をつかみ、木の根にすがって
谷音は、右にもきこえ、恋の道かな
- 紫大納言

百人一首の「由良の門を渡る舟人かぢを絶え行方も知らぬ恋の道かな」。
この詩は全体もコラージュ。すべてのフレーズを坂口安吾の短編「紫大納言」から採った。

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