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2011-07-09
ハイエナの王
ハイエナの群に一頭
わたしが混じって
草原を歩いている
風が何かを運んでくる
月光に耳を立て
わたしはその何かを
聞き取ろうとする
しかし、 風が運んでくるものが
人間の声ならば
耳にとどいたところで
なんの意味もない
人間の言葉とハイエナの言葉を
仲介してくれる者など
この草原にはいないのだから
冴えわたる月光に
銀の毛並みを光らせて
わたしは美しいハイエナなのだから
だから、 とわたしは思う
ハイエナの王になろう
そう決めると
笑いだけは人間の笑いが
喉からもれて、 仲間たちを訝しめる
ハイエナの群に一頭
わたしがまぎれ込んでいる