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ロボットに心は要らない
ロボットに心はあるかとか、
ロボットに心を持たせることができるかとか、
ロボット工学や哲学の古い問題だが、
これは考えても無駄なことではないか。

人間に心があれば、 人間に似せて作られたロボットには、
当然心が宿るだろうし、
人間に心がなければ、 いくら人間に似せて作っても、
ロボットにも心はないだろう。 それだけのことではないか。

心とは何かといえば、 脳の現象である。
この現象には、 他の現象と大きな違いが一つある。
それは、 この現象は本人しか観測できないということ。
その本人を <私> という。

心は <私> にしかわからない。
あの人やこの人に心があるように見えても、
ほんとうにあるかどうかは確かめようがない。
あると思うからある。
あるように見えるからある。
それだけのことでしかない。
嘘発見器はどうかって?
嘘が見破れるということは、 人の心が
わかるということではないかって?
違います。 ポリグラフが観測できるのは、
呼吸、 脈拍、 血圧といった生理現象だけ。
じゃあ、 脳波を調べればって、
それも違います。
脳波を調べてわかるのは、 脳波という現象だけ。
本人がどう思っているか、 感じているかはわからない。
<私> 以外に本人の心はわからない。

心があるかないか、
第三者にはそれを確かめることができず、
証人が <私> しかいないとすれば、
それは科学ではない。

結局のところ、
ロボットに心はあるかとか、
ロボットに心を持たせることができるかとかは、
そんなに深刻に考えることではない。
おもしろいから、 少しぐらいは考えてもいいが、
これは哲学の課題ではない。
工学の課題として残るのは、
いかにして、 心があるらしく見えるロボットを
開発するか。

ロボットに心は要らない。
正確には、 本気でロボットに心を実装しようとする試みは、
出発点ですでに誤っているということ。
あるかどうか確かめられないものを、
誰が意図して実装できるものか。
かりに実装できたとしても、
結果を言えるのはロボット本人だけ。

-category ロボット
[07-10-05]
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