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マッドサイエンス最前線 ―― 生命は編集可能であるべきだ
![]() 合成生物学の若手リーダー、 ドリュー・エンディ (Drew Endy) 博士の横顔を、 『Make』 日本語版 Vol.2 が紹介している。 - oreilly.co.jp -- Online Catalog: Make: Technology on Your Time Volume 02 スケボーやアルバイトに精出していた工学部の学生エンディが生物学に興味を持ったのは、 政治理論の授業が入ってきた3年次のこと、 平凡な人間が大規模な変化に影響を及ぼせるのはどうしてだろうと考えはじめてからという。 政治理論と生物学がどうつながったかは紹介されていないが、 DNA 断片を切り貼りしたとき 「ワオ、 できちゃったよ」 といった面白さを感じて、 工学と生物学を結ぶ領域に進むこととなった。 工学博士を取得した際は、 致死性のウィルス T7 を DNA 断片から作り上げた。 エンディが目指したのは、 高額な合成装置や生物学の専門知識がなくても手軽に DNA を合成できるように、 DNA 合成のための 「言語」 や 「文法」 を整えること。 マサチューセッツ工科大学 (MIT) のトム・ナイト教授が提唱したバイオブリック (biobrick、 生物レンガ) の考え方に共鳴したエンディは、 既知のバイオブリックを集めたカタログを作り、 Registry of Standard Biological Parts として MIT のサイトで公開した。 バイオブリックとは、 名称からも想像できるように、 DNA をレゴブロックのように部品として扱うというアイデアである。 この公共カタログには、 エンディの T7 も掲載された。 エンディが自作の T7 ウィルスを載せたため、 悪意のある研究者や政府がこれを邪悪な目的で合成するのではないか、 という疑念が提起されたのだ。 エンディの答えは、 コードを閉じこめるにはもう遅すぎる、 である。 (…) 一番いいのはソフトウェア産業のオープンソースモデルのあとを追うことだ。 バイオブリック DNA への自由なアクセスを提供し、 その利用法や問題点の見つけ方を、 できるだけ多くのアマチュアおよびプロに学ばせるのである。 もう遅すぎるという判断は、 たぶん当たっている。 コンピュータが普及した現在、 多少の知識があれば誰でも手軽にコンピュータウィルスを作ってばら撒ける時代になった。 DNA やウィルス、 細菌についても、 人類はすでに一線を越えたのではないか。 カナダの環境保護団体 ETC が今年初めにまとめた報告書 (Extreme Genetic Enginering、 10MB・PDF) によると、 少なくとも世界で66社が現に遺伝子合成ビジネスを行っている。 この分野を志す個人や組織は増える一方だろうから、 今後は過失や悪意による危険な生命体の発生をオープンソース的な衆知によってどう食い止めるかという展開になるのではないか。 順序が逆になったが、 『Make』 の記事は次のように始まっている。 ダートマス大学のキャンパスで、 岩に腰掛けたドリュー・エンディは大きなマルハナバチの飛ぶのを指で追いながら言った。 「こいつは飛んで繁殖するだけのマシーンですよ。 編集可能であるべきだ」 陽光の中を歩き回った朝、 彼は虫に対して今日にイラついていた。 アリに数センチのところまで顔を近づけて 「どうしてこいつをハックできないんだろう」 などと彼は言う。 (…) マルハナバチと人間の距離はそう遠くない。 ハチに比べれば人間は余計なことをしすぎる生き物だが、 基本的には人間も繁殖するマシンに違いない。 だったら、 もっとましな生き物に作り変えてもいいだろう、 人間も編集可能であるべきだと同一視する考えが広がっても不思議ではない。 -category 生命工学 [07-03-30]
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