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2018-04-08
断章的
ベンヤミンは何をしようとしてたのか。
わかるかと思って、ちくま学芸文庫の絵入り解説書『ベンヤミン』を読んでみたが、やはりわからない。
けれども、引用されているベンヤミンの言、

知的傾向と心的傾向と政治的傾向を、ひとつの拘束衣のなかに押し込めてしまう必要はない

あるいは、

私のスタンスは最も重要なことではつねにラディカルに、決して首尾一貫にとらわれずに、振る舞うということだ

などから、何をしようとしていたかはわからなくても、どのようにしようとしていたかは知れる。
ベンヤミンは断章的にやろうとしたのだ。
そして、断章的であることを実践したのが『パサージュ論』。

で、断章とは。
断章の本質は部品であること。それも、特定の目的を持つシステムの特定の役割に特化された部品ではなく、汎用的に使える部品。電子回路の素子のような。
そして、断章的にやるとは、用意した体系に沿って部品を開発するのではなく、使えそうな──あるいは関連がありそうな──部品(断章)を一つずつ──どちらかといえば思いつきで──作っていくうちに、結果として何らかの体系が浮かび上がってくるような仕方。