to top page
2017-07-17
出郷
そのカネを持って海沿いの町から姿を消した。

「父さん、ぼくらはどこへ行くのでしょう」
「いつかわかるよ」
「いつかって、いつですか」
「大人になればわかる」
「いつ大人になるのですか。父さんもですか」

列車の外の空を半分、
誰かの髪が覆って、風に吹かれていた日和。