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2017-03-19
ワンダーランド
そのつぎは紅色人だ
ワンパーワンパーわめいて行くのだ

そのつぎは猿の群
カニ喰い猿も、ヒト喰い猿も
みんなまとめて行列なのだ

狂った魚もぐいぐい行くのだ
昼は血まみれ、汗まみれ
夜はあおむけに、星を見ながら
甲羅を砂で固め直すのだ

そのつぎは太陽のせいだ
ぎらぎら、てらてら
三百年の草原を
騎馬は一気に駆け抜けて
あそこにもここにも
汗国を作ったのだ
けれども時はすぐ止まって
蜜とハシシュと薔薇の香りを漂わせ
忍び寄る暗殺者
昼下がりのえた噴水

そのつぎはサソリ
つぎはムカデ、ハリネズミ
トゲあるもの
刺すもの
ツノあるもの
自分で折れてしまうもの
突くもの、マンモス、剣虎、一角獣
砕けて砂漠の砂になってしまうもの
翌朝、日が昇ると
もう生き物の姿はない

そのつぎは夕陽
そのつぎは星
ある夜は月と星
またある夜は月と星と
赤と黄に塗り分けられた熱気球
もっと大きな緑の伯爵
白い天の川
燃え上がるツェッペリン
いつになく賑やかな空に
うっとり見入っていたものだから
連中の仕掛けた落とし穴に
もちろん落ちたけれど
穴の底から見上げる空にも
花火は満ちて
あとは楽の音を待つばかり

いつか聞いたアラビアの唄

砂漠に日は落ちて
夜となるころ
無頭女、ランボー、火喰鳥
あの懐かしい調べに
見ろよ、連中ときたら
今日も笑いすぎて涙が止まらない
そして楽隊
残光を義眼に溜めて

ほら、あちらには紫の天変
こちらにはオレンジの天変